療育とは何か?意味や目的&発達支援との違いについて簡単に解説!

絵本を読む子ども

この記事では、子どもの支援についての「療育」について、意味や目的を解説しています!

近年、子どもの数は減っているのに、支援を受けている子ども数は増加しています。

そして、この10数年間に障がいをもった子ども達への支援が手厚くなったように感じます。

実際、療育施設(児童発達支援、放課後等デイサービスなどの事業所)が以前とは比べものにならないくらい普及しました。

全国で40万人以上が利用しているとも言われています。

教育に携わる人として、子どもをもつ親として知っておかなければならないのが”療育”という支援のこと。

そもそも療育ってなに?

発達支援とはどうちがうの?

ナナコ

こんな、療育のキホンについて説明していきます♪

この記事でわかること
  • 療育という言葉の意味
  • 何のために療育をするのか
  • 療育ではどんなことをするのか
  • 療育・支援・教育のちがい

参考:調査結果統合版 (mext.go.jp)
参考:増え続ける発達障害の子ども達…療育施設は「3年待ち」の謎 | 幻冬舎ゴールドオンライン (gentosha-go.com)

目次

なんのために療育をする?

おもちゃで遊ぶ、双子の子ども

ひとことで言ってしまえば、療育とは「治療と教育」です。

治療と教育の二つの面を持ったアプローチのことを療育と呼びます。

では治療と教育とは何か、1つずつ見ていきましょう。

療育における”治療”とは

まず治療ですが、こちらは「障がいや問題行動を治療していく」ことです。

しかし、風邪とはちがい、療育では「障がいが原因で起こしてしまう行動」を治療していくという意味になります。

例えばADHDお子さんがいたとして、毎日「バカ」「死ね」などの悪口を言ってトラブルを起こしているとしましょう。

この時に治療の対象となるのが「悪口を言う」という行動です。

そして、療育を行うことでこの問題となる行動が出ないようにしていきます。

療育を重ねることで、トラブルが起きなくなり、ADHDをもったお子さんや周囲の人がストレスなく過ごすことができますよね。

療育における”教育”とは

次に教育について解説します。

かんたんに言うと「困った行動を止めるにはどうしたらいいのか」「自分のもっている障がいとはどんなもの何か」について本人だけなく家族に対しても教え、伝えていくことです。

悪口を言ってしまうお子さんを例にあげると

  • 悪口を言いたくなったらどうすればいいのか
  • どうして悪口が止まらないのか
  • (保護者に対して)悪口を言われたときにはどのように対応すればいいのか

ついて専門的な観点から教えていきます。

このように療育では治療的な部分と教育的な部分を大切にしています。

療育ではどんなことをする?

本を読んでいる子どもの写真

では、具体的に療育ではどのようなことをしているのでしょうか。

ネットで調べると、認知行動療法、SST(ソーシャルスキルトレーニング)、ABA(応用行動分析)などの専門用語がたくさん出てきます。

ナナコ

今回はわかりやすく説明をするために、専門用語はなるべく使わないようにしていきます。
気になる方は検索したり、本を読んだりしてみてください。

療育といっても、さまざまなアプローチがあるので、困りを抱えた子どもを例にして考えてみましょう!

では、「人に悪口を言ってしまう」という困りを抱えたADHDの子を例とします。

療育では、以下の手順で対応をしていきます。

STEP
子どもの行動の原因を考える
  • どんな家庭環境なのか?
  • 学校ではどんな暮らしをしているか?

もしかしたら虐待やいじめを受けていて、日ごろ自分が言われている言葉を、相手にぶつけているのかもしれません。

もちろん、他の原因があるかもしれないので、会話や行動から汲み取っていきます。

STEP
子ども自身について考える
  • からだや心は同年代と同じような発達をしているか?
  • どんな性格なのか?
  • どんなときに困りが出てしまうか?(いつ、誰に言っているのか)

多くの情報をもとに「悪口を言ってしまう理由」を考え、「悪口を言わなくてもいい方法や対策」を試していきます。

悪口を言ってしまうということに対して

  • 悪口を言いたくなったらその場から離れる
  • 悪口を言いたくなる人には近づかない

などの対処法を伝えた上で、

  • 悪口を言われるとどんな気持ちになるのか
  • 悪口を言わないで済むならどんな方法があるのか

を、子ども本人に考える機会を作りましょう。

ナナコ

そして悪口を言わなかったら褒めていくことで「悪口を言わなくてもすごせる」時間を増やしていきましょう!

このようなアプローチを数週間から数か月続けて、問題がなければ継続し、うまくいかなければ再度計画を考えるといった具合いに進めていきます。

問題となる行動は子どもによってちがいます。

同じような問題を起こす子どもがいても、育ってきた環境や性格などが違うため、基本的にはまったく同じプログラムを行うことはありません。

療育・支援・教育のちがいとは?

 最後に、療育と支援・教育のちがいについて説明します!

厳密に分けるのはむずかしいですが、以下のように定義します。

療育とは

困っていることを改善していくとともに、将来的には自分や家族で何とかできるようにしていく手助けをする

支援とは

今困っていることから助けてもらう

教育とは

今知らないことを教えてもらう

療育は1度やったらおしまいということはありません。

1つの問題が解決したら次の問題が出てくることでしょう。

その度に助けを求めることは悪いことではありませんが、どうしても自分で、自分達だけで解決しなければならないことが出てきます。

「将来を見据えて、自分で解決できる力を育てていく」ことが療育と、支援・教育の一番の違いといえます。

療育の意味や目的、支援・教育との違いまとめ

療育の意味

療育とは「治療と教育」の意味合いがある

  • 治療とは…障がいや問題行動を治療していく
  • 教育とは…「困った行動を止めるにはどうしたらいいのか」「自分のもっている障がいとはどんなもの何か」について本人だけなく家族に対しても教え、伝えていくこと
療育・支援・教育のちがい
療育とは

困っていることを改善していくとともに、将来的には自分や家族で何とかできるようにしていく手助けをする

支援とは

今困っていることから助けてもらう

教育とは

今知らないことを教えてもらう

現在、療育施設は全国にたくさんあります。

実施している内容やプログラムは違いますが、基本理念として「子ども達の生きる力を育てる」ということは共通していると思います。

よい療育を受けることができれば、マイナスなことはありません。

療育施設をこれから探す方に、役立つことを願っています。

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この記事を書いた人

関西で、子どもの療育に関わっています。
子どもの療育や、支援の必要なお子さまをもつ保護者様に助かる情報サイト「療育ドットコム」を運営中

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